悲しすぎるできごと

我が家には「メリ」という柴犬がいた。しばらくすると赤ちゃんを産み、「コロ」と名付けられた。生まれたばかりの子犬はとにかく可愛いものでであるが、家で2匹は飼えないので、少し大きくなったところで親戚の家にもらわれてていくことになった。寂しかったが、親戚が近くに住んでたということもあり、いつでも会いに行くことがで納得した。

私が小学2年生の夏休みに、親戚が帰省するためコロを預かることになった。久々の里帰りにみな手放しで喜んだ。

 

 そんなある日、私は近くの坂道で自転車のスピードを出し過ぎて事故を起こしてしまった。すぐに病院に運ばれた。医者には「危ないかも…」と言われたそうだが、何日か入院をして無事に退院することがでた。家に着き、タクシーから降りると、庭の方から満面の笑でコロが走ってきた。私はコロを抱き上げると「ありがとう」と言ってから頬ずりをしてから下に下ろして玄関に向かった。その時、「ギャン!」という変な鳴き声が聞こえた。振り返ると、こちらに向かってくるコロが姿があった。しかし、どことなく様子が変で、一歩歩くごとに歩みは弱々しくなっていた。状況が理解できずに呆然と立ち尽くしている私の前まで来ると、コロはそのまま地面に倒れこんだのだ。

 

 頭の中が真っ白になり、「お母さーん!」「おねえちゃーん!」と助けを叫ぶことしかできなかった。泣きながら助けを呼ぶことしかできなかった。後から来てくれた母と姉、そして私の3人は頭を突き合わせてコロを囲み、「コロ…」「コロ…」と泣きながら名前を呼ぶだけだった。次第にコロの動きが小さくなり、やがて動かなくなった。そ時間が止まった中で、やけに遠くの方で「コロ、コロ」という声が聞こえるだけだった。母が一言「あなたの命を代わりになってくれたんだよ…」言いったが、子供の私には結構きつい言葉だった。3人でお墓を作り、コロとさよならをしたのだが、この話はこれだけでは終わらなかった。

そのあと、大変なこと(不思議なこと)が起こったのだ。今度は母親のメリの様子がおかしくなってしまったのだ。近くに行っても私たちのことなどわからないかのように噛みつこうとして暴れまわったのだ。遠くにご飯を置いても手をつけることなく暴れていた。「危ないから、今日は近づいちゃダメ」母がそう言ったので家に入った。その日は、夜中になってもずっとずっと鎖のきしむ音が家の中まで聞こえていた。その音がずっと気になっていたが、いつしか眠りについていた。

 

翌朝、目覚めるとすぐにメリのところに行った。衝撃の光景だった。メリが死んでいたのだ。ボロボロの体、苦しそうな姿、悲しそうな表情で…。その頃私はまだ幼かったので、それが何だったのかわからなかったのだが、時が経ってから、言葉ではうまく言えないが、理解できたような気がする。でも、メリはコロが死んだことを知らなかったはずなのに…

血の繋がった親と子の間には、理屈だけでは説明できない、本能的にお互いをつないでい何かがあるのかもしれない。とても悲しいできごとだったが、犬の親子が私たちに見せてくれた姿に親子の絆の強さに畏敬の念を感じずにはいられなかった。今回は笑いなしでした。

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